”本当の自分”と向き合い続ける。好きを選び続けるために 【ビジパン!01】取材後記

2024 / 05 / 02

”本当の自分”と向き合い続ける。好きを選び続けるために 【ビジパン!01】取材後記

構成/冨田愛純

撮影/冨田愛純

ときどき出会う、好きを仕事に、まるでピーターパンのような目で働く大人。そんな”ビジネスピーターパン”の仕事場にお邪魔して、彼らの踏み出した過去に迫る新企画『ビジパン!踏み出す前の自分へ、今だから伝えられること』が、公式YouTubeにてスタート!ここでは、取材した編集者が、ビジパンから感じたことや学んだことを取材後記として展開。今回取材したビジパンは、会社員を経て和歌山市の漁師町〈雑賀崎〉に居を移し、「好きなこと85%:現実15%の割合で生きている」と語る画家の松尾ゆめさん。

画家

まつお

松尾ゆめ

グラフィックデザインの専門学校を卒業後、会社員として働いたのち、25歳のときワーキングホリデーでアイルランドへ。帰国後、約3年間の会社員を経て、29歳で画家の道へ。現在は、和歌山市の漁師町〈雑賀崎〉に居を移し、画家として制作に励みながら、NPO法人さいかざきポッセの立ち上げメンバーとしても活動中。


カメラが回っていないところで『すっぴん宣言』できる人 


このご時世、”女性なのに”なんて表現は御法度かもしれない。だけど、「カメラを回します」と言われて、 


「あ、眉毛描いた方がいい?でも、いつもこれやし、いいか」 


と、カメラが回っていないところで『すっぴん宣言』をし、本当に正真正銘のすっぴんでカメラの前に立てる女性はそう多くはないだろう。 


ここで重要なのは、”カメラが回る前にすっぴん宣言”をしているところだ。 


カメラが回っている最中だと、それはそれで「そういうブランディングか?」と疑ってしまう。(私は、性根が悪いことを自覚している。) 


ともかくカメラがあろうがなかろうが、人が居ようが居まいが、徹底して自分に正直に生きようとするこの女性こそ、今回のビジパンである『画家のまつおさん』だ。(本名は「松尾ゆめ」で、画家としての活動名義がひらがな3文字で「まつお」。) 


自分を偽らず、正直に生きるには 


まつおさんを取材したいと思った理由は至ってシンプル。「どうすれば、まつおさんのように”自分を偽らずに正直に生きられるのか”」を知りたかったから。取材前、私は2通りの仮説を立てた。 


1.まつおさんの性格が、生まれつきそうだから 

2.人生の中で、「正直に生きよう」と思えるきっかけがあったから 


動画から飛んできていただいた方はすでにお分かりだろうが、答えは「どっちも」だった。 


まつおさんという人は、正直に生きる上で余計となる邪念(「一般的にはこうすべき、これがいい」など)をオフることができる性格でもあるし、人生の中で、”自身の殻を破る大きなきっかけ”にも出会っていた。 


性格ときっかけの話は、動画の中で、生々しい経験談とともに語ってくれているので、まだの方はぜひとも見てほしい。 


本望のままに生きるのも、楽ではない 


今回の取材後記で伝えたいのは、なにも「”邪念をオフれる性格”と”すてきな出会い”に恵まれたまつおさんは、なんて運のいい人なんだ!」ということでは、決してない。 


想像してみてほしい。 


まず”邪念をオフる性格”を手に入れたとして、そもそも「今の自分にとって何が邪念なのか」を問いづつけなければ、何をオフるべきなのかもわからない。 


そして、この「本望と向き合い続ける」というのは、かなりのエネルギーを消耗する負担の大きい作業だとも思う。時には、世論に身を任せて、自分を偽った方が生きやすい場合もあると思うからだ。 


それに向き合った結果、本望(やりたいこと・生き方)が世論と逆風だった場合、踏み出すのにはかなりの勇気を要する。実際に、まつおさん自身も、”好き(絵を描くこと)と現実(どうお金を生み出すか)のはざま”で悩んだ時期のことを、取材の中で語ってくれている。 


人生を変えるきっかけや出会いだって同じ。まつおさんが自分の殻を破れたのは、「25歳、アイルランド、ワーキングホリデー」でのある出来事がきっかけなのだ。 


そもそもこの時点で、行動を起こしているし、その後もここで学んだ・感じたことを、しっかり自身の人生に落とし込んで実践してきている。 


社会的常識が埋め込まれた大人になってから、身一つで新たな環境に飛び込み、自分自身に変化を与え続けることは、正直かなり腰の重い作業だと思う。(金銭という無視できない現実も、何かと付いて回るし) 


近道はない。それでも、”好き”を選び続けることはできる 


常に自分と向き合い続け、行動や変化を起こしてきたまつおさんは、今現在「好きなこと85% :現実15%」の割合で、日本のアマルフィと呼ばれる漁師町〈雑賀崎〉で自由気ままに暮らしている。 


「描きたい時に絵を描き、晴れの日は、お散歩したり、友達と外でパンケーキを食べたり。静かだけど、人のつながりも感じられて、今の暮らしが私のスタイルに合っている。」 


と、すっぴんだけど、そんなの気にならないくらいハツラツとした表情で語ってくれたまつおさん。 


この”すっぴんでハツラツな笑顔”に至るまでには、自分と向き合い続けた人にしか分からない”軋轢(あつれき)や不安との闘い”、そして”覚悟を伴う選択”があったのだ。 


しかし、書きながら取材動画を見返す今思うことは、「もし、すべての軋轢も不安も選択もなければ、”好きなこと85%”で生きる今のまつおさんは、果たして存在したのだろうだか」と。 


「この85%を、徐々に100%まで持っていけたら、いいですよね。」と、どこかこれからの自分を試すような口調とたくらみを含むまなざしで話すまつおさんは、まさに”ビジネスピーターパン”そのものだった。 


取材動画はこちら☟


和歌山市移住定住支援サイトはこちら☟
http://www.city.wakayama.wakayama.jp/ijuteiju/index.html

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