”受け入れ力”と”出会いの連鎖”を大切に。和歌山市で新たに描くビジョンとは【こんな生き方もあったのかvol.3】

2023 / 03 / 28

”受け入れ力”と”出会いの連鎖”を大切に。和歌山市で新たに描くビジョンとは【こんな生き方もあったのかvol.3】

構成/冨田愛純

撮影/冨田愛純

和歌⼭市で⾃分らしく活動している⼈を通して、全国に和歌⼭市の魅⼒をお届けしたい。
そんな想いから⽴ち上がったインタビュー企画「こんな⽣き⽅もあったのか」では、その
⼈が辿ってきた道のり、これまでの⼈⽣を振り返って思うこと、さらには今後実現していきたいことに迫ります。今回は、2022年8⽉に東京から移住し、川沿いの素敵な⼀軒家で
レンタル撮影スタジオを経営する湯川聡美さんにお話をお伺いしました。今までを振り返
って湯川さんが思う、⾃分らしい⼈⽣の歩み⽅とは。

STUDIO ADDITION

オーナー

湯川聡美

和歌⼭県岩出市出⾝。広告CM等のスタイリストを経て、2022年8⽉に東京から和歌⼭市
に移住。2023年1⽉、株式会社カロを設⽴。2023年3⽉、⼀軒家のレンタル撮影スタジオ
「STUDIO ADDITION 」をオープン。家具や⼩物を取り揃えた空間の中で、写真や映像撮影のほか、ワークショップや展⽰会、ギャラリーなど、レンタルスペースとしても利⽤で
きる場所を提供している。


外のロケに優れた和歌山市で、ハウススタジオを構える


東京にいた時も、和歌山で撮影された映画やドラマの情報が入るとなんだか嬉しくて、映画館に足を運んだり、チェックしたりしていました。そこで見慣れた和歌山市の景色が写っていると、「ここで撮影してたんだ!」とテンションが上がると同時に、このあたりにスタジオがあれば効率よく撮影ができるのでは、とざっくりしたイメージを持っていました。


実際にスタジオの場所を決めるにあたり、「窓からの景色がよく海に近い場所」「撮影でよく使われている場所から関西空港までの導線上にあること」、この2点を重視していました。和歌山市は、まさにその条件にピッタリの場所だったんです。


あと、和歌山市って山・川・海が揃う素晴らしい場所だと思っているんですけど、室内で撮影できるスタジオがないなと気づいて。和歌山の制作会社さんにも聞いてみたところ、あったら利用したいという声もいただき可能性を感じました。


湯川さんが和歌山市で経営するハウススタジオ「STUDIO ADDITION」


フットワークは軽く、まずは受け入れることを大切に


スタイリストになりたいと思ったきっかけはマンガなんですよ。中学生くらいのときに、主人公の女の子がスタイリストを目指すみたいなマンガがあって、ファッションで表現したいことを表現してそれを世に出していくっていうのがすごく良くて。そこから雑誌「Olive」に憧れ、高校卒業後ファッションの専門学校に進み、上京して夢だったスタイリストとして独立しました。


1つの撮影をするにしても、さまざまな役割の⼈が関わり、同じ⽬標に向けて進んでいきます。それぞれの⽴場で考えや解釈が違ったりするので、まずはいろいろな意⾒を受け⼊れた上で、いいものを捻出したいというのがスタンスとしてあります。あとは、仕事でもプライベートでも声をかけていただいたら⾏くようにしていて、フットワーク軽く、直接会って意⾒を聞くことも⼤事にしています。


そうやって関わった仕事が、世の中に出ていくことにやりがいを感じていました。ただ、スタイリストって体⼒がとてもいるので、先を⾒越して、自然と今後どうしていきたいか考えるようになっていました。そんなとき、前々からやりたいと思っていた仕事にスタイリングで関われて、電車や街中でその広告を見たときに、最大の満足感とひとつの区切りを感じたんですよね。



直感だけじゃない。何かを決めるときは納得いくまで突き詰める


将来のことも考えて⼀度撮影のお仕事を離れたあと、ご縁あって⼊った会社の広告宣伝部で、マーケティングから広告制作、商品撮影などに関わらせていただきました。ちょうどそのころ、仲良くしていたカメラマンさんに呼んでいただいたお仕事で、3都市リモートで繋いだ撮影を経験したんです。撮影は東京、クライアントは上海、広告代理店は⾹港で。


そのときに、東京じゃなくても和歌⼭でセッティングを組んで撮影出来たらいいなって思いが芽生えてきて。極めつけに、撮影のロケハンで訪れた鎌倉のハウススタジオが本当に素敵なところで、たしかに場所を構えたらいけるかもしれないとリアルに考え始めました。


白を基調としたスタジオの一角(湯川さん提供)


はじめから起業しようなんて思っていなくて。実家のどこか隅あたりに、ちょっとコーナーを作らせてもらって、撮影のお仕事ができたらめっちゃいいなくらいの感じで思っていました。それで、地元に帰るにあたって補助⾦とかいろいろ調べたときに、締め切りが6⽇後に迫っていて、ダメ元でも1回応募してみようと。もう⼤慌てで和歌⼭の制作会社さんにお話を聞いて情報を集めたり、経営者でもある親や前職の会社の⼈にアドバイスをもらって、⼈⽣で作ったことのないプレゼン資料を泣きそうになりながら作りました。


話だけ聞くと直感でパッとやりたいこと⾒つけてみたいな感じだと思うんですけど、できる限りの下調べは結構していました。それはスタイリストのお仕事でも学校ひとつ決めるにしても、何かを決めるときは、まず可能性のあるものを限りなく調べ尽くして納得したいというのが根本にあるのかもしれないです。



いろんな人や場所とタッグを組んで目指す「撮影しやすい県NO.1」


一番は和歌山全体で来てもらいたいなと思っています。東京だと必ず和歌山=白浜ってなっていて紀北が注目されてないのが悲しくて。ただ、北だけが注目されるように頑張るぞというよりは、全体でタッグを組んで効率よく撮影ができる県なんだよっていうのをもっと知ってもらいたい。


「目指せ、撮影しやすい県No.1」っていうのが根本にあって、要所要所にある素敵なところを織り込みながら、まるっと撮影プランを提案できたらすごくいいんじゃないかなって。カフェのシーンならあのお店とか、ロケ弁やケータリングならここにお願いできるななど、提案したいお店もたくさんあります。


また、移住先で出会ったカメラマンやデザイナー、ヘアスタイリストなど、さまざまな業種で活躍する素敵な方々ともタッグを組んでいきたいと思っています。現地に撮影スタッフがいるというのも強みになると思うので。



どんどんやりたいことが広がるんですけど、制限しないほうがおもしろいというか。スタジオ名の「アディション」は加えるという意味からきていて、会社名の「カロ」も実は漢字の「加」から思いつきました。自身の経験からも、ひとつの空間に小道具や衣装を加えることでガラッと雰囲気が変わったり、いろんな人が加わることで場面ごとの表現が違ったりと。


振り返ると、個人でやってるようで、実はいろんな人と協力しながらお仕事が成り立ってきたんだなと改めて感じます。いまも和歌山市の素敵なロケーションがなければ、スタジオを作ってもそんなの今いる場所で撮れるし、と来てもらえない。ロケーションや今まで関わってきた方々、すべてが「スタジオアディション」の一部なんです。

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